KASTカードの使い方・還元・手数料 ― 申請可能国の確認方法と3ティアの実質コスト
結論から言うと、KASTはステーブルコインを米ドル建ての残高に替えてVisa加盟店で使うカードで、無料のStandardティアでも対象となる利用額の最初の月2,000米ドルまでは1.5%の米ドルキャッシュバックが案内されています。ただし申請可能国は、MEXCやether.fiのように公開リストで確認する方式ではありません。KASTは完全な対象国リストを公開しておらず、申し込めるかどうかはアプリ内の国選択と本人確認の表示で確かめる方式です。このノートでは、2026年11月4日に当研究所が公式の手数料・条件ページで直接確認した数字をもとに、3ティアの比較、申請可能国の確認手順、手数料の全体像、そして現金還元だけを見た場合の実質コスト試算までを整理します。
KASTの公式サイトへのリンクです(現時点で紹介リンクは設定しておらず、このリンク経由で運営者に報酬が入ることはありません)。このサービスは金融庁に登録された国内業者ではありません。申込前に、公式サイトで最新の対応地域・条件を必ず確認してください。
KAST 公式サイトを確認するKASTとは ― ステーブルコイン残高を米ドル表示で使うVisaカード
KASTは、暗号資産のアプリにひも付いたVisaブランドのカードです。仕組みの出発点は、預けたステーブルコインをそのまま店舗で使うのではなく、米ドル建ての残高に換算して使う点にあります。公式の手数料・条件ページによれば、対応するステーブルコインを入金すると残高は米ドルで表示され、米ドルへの換算は1対1、スプレッドは0%とされています。つまり、入金した1米ドル相当のステーブルコインは、残高上は1米ドルとして扱われる設計です。入金そのものに対するKAST側の手数料は0%で、別途かかるのは送金元のウォレットやネットワーク側の手数料です。
このカードを理解するうえで、まず押さえておきたいのは「カードが1枚の商品ではなく、会員ティアにひも付いた制度」だということです。KASTにはStandard・Premium・Privateの3つの会員ティアがあり、年会費・カードの種類・還元率・還元の上限がティアごとに決まります。カードを申し込むという行為と、どのティアに入るかという選択は切り離せません。無料のStandardから始めて、実際の利用額が見えてから有料ティアを検討する、という順番が、数字のうえでも無理のない進め方です。なおKASTは銀行ではないと案内されており、残高は銀行預金と同じ保護の対象ではありません。この点は、利用額を決めるうえでも意識しておくべき前提です。
決済の流れは次のとおりです。①対応するステーブルコイン(USDT・USDCなど)をKASTアカウントへ入金する。②残高が米ドル表示になる。③バーチャルカードまたは物理カードでVisa加盟店で決済する。④米ドル建ての決済であればカード利用手数料は0%で、決済額がそのまま残高から引かれます。米ドル以外の通貨で決済する場合は、ここに為替手数料が上乗せされます。チャージ式のプリペイドに近い使い方ですが、公式の説明ではカード利用上限に固定の上限は設けられておらず、残高・セキュリティチェック・加盟店やネットワークの条件が実質的な制約になるとされています。大きな金額の決済でも上限に触れにくい反面、残高以上の決済はできない点はプリペイドと同様です。
申請可能国の決まり方 ― 公開リストなし、アプリ内の国選択が判定になる
KASTの申請可能国を調べるうえで最大の注意点は、公式が完全な対象国リストを公開していないことです。当研究所が2026年11月4日に確認した公式の手数料・条件ページにも、国別の対応表はありません。競合サイトの多くも同じ点を指摘しており、「170か国以上で使える」という表現は、Visa加盟店の受け入れ国数の話と、申し込める国の話が混ざりやすいと注意を促しています。加盟店が170か国以上にあることと、その国の居住者がカードを申し込めることは別の話です。まずこの区別を頭に入れてください。
では、申し込めるかどうかはどう確かめるのか。KASTの公式ヘルプ(競合サイトが引用する2026年8月9日更新の案内)によれば、確認方法はアプリの申し込み画面・本人確認画面で表示される国の選択肢(ドロップダウン)を見ることです。自分の居住国が選択肢に表示されれば、その先の本人確認へ進めます。表示されなければ、その時点ではその国では提供されていない、という扱いです。アカウントの作成だけなら進める場合でも、本人確認を通過できなければカードは発行されません。「アカウントが作れた=カードが申し込める」ではない点に注意してください。
自分で確認する手順は次のとおりです。①KASTの公式アプリを入手し、アカウントを作成する。②本人確認の画面で、居住国として自分の実際の居住国を選択する。③選択肢に自分の国が表示されるかを確認する。④表示される場合は、本人確認書類(パスポート・運転免許証・政府発行の身分証など)とライブネスチェック(顔認証)の案内に沿って進む。⑤表示されない場合は、別の国を選択して進めないこと。居住国と異なる国を選ぶ行為や、位置情報のチェックを回避するためのVPN利用は規約違反になると指摘されており、アカウントの停止につながるおそれがあります。確認結果はスクリーンショットで残しておくと、後から条件が変わったときの比較材料になります。
| カード | 申請可能国の確認方法(公式情報ベース) | 日本の扱い |
|---|---|---|
| KAST | 完全な対象国リストは非公開。アプリ内の国選択と本人確認の表示が判定になる | カード発行の対応国リストは非公開のため断定できない(要検証)。アプリ内の表示が最終確認になる |
| MEXCグローバルカード | 申請ブラックリスト(申し込めない国の一覧)に載っていない国が対象 | 2026年11月2日確認でブラックリストに日本は含まれていない |
| ether.fi Cash | 公式ヘルプに物理カードの対応国リストを公開 | 2026年11月2日確認で対応国リストに日本が含まれている |
日本に関する当研究所の現時点の整理は次のとおりです。当研究所のKAST 検証レポートでは、Apple Payの対応国リストに日本が含まれていることを根拠に「申込可の可能性高」と判定しています。しかし、Apple Payの対応国リストとカード発行の対応国リストは同じものではありません。Apple Payに対応していることは、カードが発行・利用できている可能性を示唆しますが、発行対象国の公式な証明にはなりません。したがって本ノートでは、日本について「申し込める」と断定しません。要検証として扱い、最終的にはアプリ内の国選択と本人確認の表示で確かめることを推奨します。物理カードの日本への郵送可否についても、公式の手数料ページには配送料金(Standardはカード代0米ドル+配送40米ドル)の記載はありますが、配送先の国別可否の明記は確認できなかったため、こちらも要検証です。
第三者レビューが「対応例」として挙げる国名(アルゼンチン・ブラジル・チリ・コロンビア・メキシコ・ペルーなど)については、公式の対象国リストが存在しない以上、本ノートでは公式情報として採用しません。あくまで第三者情報であり、自分の国については上記のアプリ内確認が優先されます。逆に、制裁対象国など一部の国が対象外であることは複数のレビューが指摘していますが、除外国の完全な一覧も公式ページでは確認できなかったため、本ノートでは個別の国名を断定しません。対象国リストの変更チェックは、今後の研究ノートでも継続する項目です。
3ティア比較 ― 年会費・カード・還元上限を横並びで見る
KASTの3ティアは、年会費が0米ドル・1,000米ドル・10,000米ドルと大きく開いています。還元率だけを比べると有料ティアが有利に見えますが、還元には月ごとの対象利用額の上限があり、上限を超えた分には還元が付きません。ティア選びで本当に比べるべきなのは「還元率」ではなく、「自分の月利用額で実際に戻ってくる金額」と「年会費」の差です。
| 項目 | Standard | Premium | Private |
|---|---|---|---|
| 年会費 | 0米ドル | 1,000米ドル/年 | 10,000米ドル/年 |
| カード種別 | Visa Platinum | Visa Infinite | Visa Infinite |
| バーチャルカードの付帯数 | Standardカード2枚まで含む | Premiumカード1枚+Standardの付帯分 | 金メッキカード1枚+他ティアから2枚 |
| 物理カード | カード代0米ドル+配送40米ドル | 1枚含む(Standardの付帯分もあり) | 金メッキカード1枚+他ティアから2枚 |
| 追加のバーチャルカード | 1枚2米ドル(地域によっては付帯分にも2米ドルがかかる場合あり) | 追加分はコンシェルジュ経由で個別案内 | 追加分はコンシェルジュ経由で個別案内 |
| 米ドルキャッシュバック | 月最初の2,000米ドルまで1.5% | 月最初の10,000米ドルまで2% | 月最初の40,000米ドルまで3% |
| 月あたりの還元上限額(当研究所の計算) | 30米ドル | 200米ドル | 1,200米ドル |
| 保有できるカード総数 | 最大10枚 | 最大10枚 | 最大10枚 |
月あたりの還元上限額は、還元率に対象利用額の上限を掛けた当研究所の計算です。Standardは2,000米ドル×1.5%=30米ドル、Premiumは10,000米ドル×2%=200米ドル、Privateは40,000米ドル×3%=1,200米ドルです。つまり、月2,000米ドルを超えて使っても、Standardの還元は30米ドルで頭打ちになります。月10万円程度(約670米ドル)の利用なら、Standardの還元は約10米ドル相当で、年会費がかからない分だけ素直に受け取れる計算です。月利用額が大きい人ほど、上限の存在が効いてきます。
有料ティアには、米ドルキャッシュバックとは別にKASTポイントの付与が案内されています。ただし、今回当研究所が確認した公式の手数料・条件ページの報酬表には、米ドルキャッシュバックの率と上限のみが明記され、KASTポイントの付与率や換金価値の記載は確認できませんでした。そのため本ノートの試算では、KASTポイントを現金還元に含めていません。ポイントの扱いは要検証とし、ポイントを理由に有料ティアを選ぶ判断は、アプリ内や公式の報酬規約で最新の付与条件を確認してから行うべきです。ポイントの現金価値を決め打ちして「実質5%」などと合算する説明は、公式の裏付けがないため採用しません。
申し込み手順 ― 本人確認の段階と、カード発行までの流れ
申し込みは、アプリ内で完結する流れです。公式ヘルプや第三者レビューが説明する段階を整理すると、次のようになります。
- アカウントを作成する:氏名・メールアドレス・電話番号を登録します。この段階では、まだカードの申し込みは完了していません。
- 居住国を選択する:前節のとおり、ここで自分の実際の居住国が選択肢に表示されるかを確認します。表示されない場合は、ここで止まるのが安全です。入金を先に済ませてから確認する順番は避けてください。
- 本人確認(KYC)を完了する:政府発行の本人確認書類(パスポート・運転免許証・身分証など)の提出と、ライブネスチェック(顔認証)が求められます。カードの発行には、この段階の通過が必要です。追加で住所証明や資金源の提示を求められる場合があるとレビューでは指摘されていますが、求められる書類は居住国や審査の状況で変わるため、アプリ内の案内が優先されます。
- ステーブルコインを入金する:対応するステーブルコインを入金すると、残高が米ドル表示になります。入金手数料はKAST側では0%ですが、送金元のネットワーク手数料は別途かかります。対応していない資産を入金すると自動換算される場合があり、その換算手数料は資産ごとにアプリ内で表示されると公式ページに記載されています。
- バーチャルカードを発行する:本人確認を通過すれば、バーチャルカードを発行してApple Pay・Google Payに登録できます。Apple Pay・Google Payの利用手数料は公式ページで0%とされていますが、対応可否は地域によって異なるとされています。自分の地域で使えるかどうかは、アプリ内の表示で確認してください。
- 物理カードを注文する(任意):Standardではカード代0米ドル+配送40米ドルがかかります。配送にかかる日数は、今回確認した公式の手数料ページには記載がなかったため要検証です。第三者レビューでは10〜20日程度とされることがありますが、公式の裏付けがないため本ノートでは日数を断定しません。
申し込みで見落としやすいのは、本人確認の段階とカード発行の段階が別だという点です。アカウント作成が進んでも、本人確認を通過しなければカードは発行されません。逆に、本人確認を通過したからといって、物理カードの配送やApple Payの対応までが自動で保証されるわけでもありません。各段階でアプリ内に表示される内容を、その都度確認する姿勢が重要です。申し込みの一般的な流れとKYCで必要なもの全般は、申し込みの流れとKYCにもまとめています。
手数料の全体像 ― 米ドル決済は0%だが、為替・ATM・小額決済には別料金がある
KASTの手数料は、「米ドル建ての決済は安いが、米ドル以外・現金化・小さな決済には別料金が積み上がる」構造です。公式の手数料・条件ページ(2026年11月4日確認)から、カード利用に直結する項目を抜き出しました。
| 手数料項目 | 金額(公式表記) |
|---|---|
| チャージ(トップアップ)手数料 | 0% |
| カード利用(米ドル建て) | 0% |
| カード利用の取引手数料 | 0% |
| Apple Pay・Google Pay利用手数料 | 0% |
| 為替手数料(米ドル以外) | 0.5%〜1.75%(居住国・取引国・カードプログラム・アプリ内表示で変動) |
| 小額取引手数料(米ドル建て) | 0% |
| 小額取引手数料(米ドル以外・25米ドル未満) | 0.10米ドル/件 |
| 残高不足による決済失敗手数料 | 0.50米ドル/件 |
| ATM出金手数料(米ドル) | 3米ドル+出金額の2% |
| ATM出金手数料(米ドル以外) | 3米ドル+出金額の2%+為替手数料 |
| ATM出金限度額 | 1回500米ドルまで、24時間で3回または1,500米ドルまで |
為替手数料の幅(0.5%〜1.75%)は、居住国や取引が行われる国、カードプログラムによって変わると公式ページに明記されています。つまり、同じカードでも、どこで・どの通貨で使うかによって為替コストが変わります。日本円で決済する場合は米ドル以外のため、必ずこの為替手数料がかかります。自分の取引に適用される正確な率は、決済前にアプリ内で表示されるとされています。還元の数字だけを見て「1.5%戻る」と考える前に、為替手数料を差し引いた実質の数字で見る必要があります。詳しくは次節の試算をご覧ください。還元率の数字に隠れた手数料の落とし穴全般は、手数料と還元率の読み方で解説しています。
入金・出金の手数料も、カード利用とは別に押さえておく必要があります。ステーブルコインの入金はKAST側では0%ですが、出金はネットワークごとに料金が決まっています。公式ページの表によれば、SolanaのUSDT・USDCは1米ドル+出金額の0.1%、ArbitrumのUSDCは0.20米ドル+0.1%、EthereumのUSDT・USDCは6米ドル+0.1%、TronのUSDTは5米ドル+0.1%です。最低出金額は5米ドル相当です。銀行送金での入金は、ACHが2米ドル、FedWireが15米ドル、SWIFTが30米ドル、SEPAが0.5%とされています。カードで使う分だけを入金し、頻繁に出し入れしない運用のほうが、手数料の面では有利です。
ほかのカードとの位置づけを確認したい場合は、カード比較表で還元・年会費・対象国を横並びにしています。同じVisaでも、MEXCグローバルカードは決済手数料1%がかかる一方で為替上乗せが0%とされており、KASTは米ドル決済0%・米ドル以外に為替手数料という正反対に近い構造です。自分の決済通貨が米ドル中心か、それ以外が中心かで、有利なカードは変わります。
実質コスト試算 ― 還元から為替・ATMを差し引いた当研究所の計算
ここからは、公式の数字だけを使った当研究所の試算です。KASTポイントは現金価値が未確認のため含めていません。為替手数料は公式の幅(0.5%〜1.75%)の両端で計算しています。
Standardティアの月利用額別シミュレーション(米ドル建て決済の場合)
| 月の利用額 | 還元率 | 還元額 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 500米ドル | 1.5% | 7.50米ドル | 上限には届かない |
| 1,000米ドル | 1.5% | 15米ドル | 上限には届かない |
| 2,000米ドル | 1.5% | 30米ドル | ちょうど上限に到達 |
| 3,000米ドル | 1.5%(上限適用) | 30米ドル | 上限を超えた1,000米ドル分には還元なし |
米ドル建て決済であれば、カード利用手数料は0%のため、還元額がそのまま実質の戻りになります。ただし月2,000米ドルを超えると還元は増えず、利用額に対する実質還元率は下がっていきます。月3,000米ドルの利用では、実質還元率は30米ドル÷3,000米ドル=1.0%まで下がります。Standardは「使えば使うほど得」ではなく、「月2,000米ドルまでの利用で1.5%が効く」設計だと理解するのが正確です。
米ドル以外(日本円など)で決済する場合の実質還元
| 為替手数料 | 還元率(Standard) | 実質還元(目安) |
|---|---|---|
| 0.5% | 1.5% | 約1.0% |
| 1.0%(幅の中間) | 1.5% | 約0.5% |
| 1.75% | 1.5% | 約−0.25%(マイナス) |
米ドル以外で決済する場合、実質還元は「還元率−為替手数料」が目安になります。為替手数料が1.75%の上限に近い場合は、Standardの1.5%還元では手数料をまかないきれず、実質マイナスになります。さらに25米ドル未満の米ドル以外決済には1件あたり0.10米ドルの小額手数料が加わるため、少額決済を繰り返す使い方ではさらに目減りします。たとえば10米ドル相当の決済を繰り返す場合、小額手数料だけで決済額の1%に相当します。日本円での少額決済が中心の人は、この小額手数料の存在も計算に入れるべきです。
ATM出金の実質コスト
| 出金額(米ドル) | 手数料(3米ドル+2%) | 出金額に対する割合 |
|---|---|---|
| 100米ドル | 5米ドル | 5.0% |
| 250米ドル | 8米ドル | 3.2% |
| 500米ドル | 13米ドル | 2.6% |
ATM出金は、KASTのカード利用の中でもっとも割高な使い方です。1回あたりの上限は500米ドルで、24時間では3回または1,500米ドルまでです。米ドル以外で出金する場合は、さらに為替手数料が上乗せされます。現金を頻繁に引き出す使い方には向いておらず、カード決済中心の利用が前提のカードだと考えられます。
有料ティアの年会費は、現金還元だけで回収できるか
有料ティアの年会費を、Standardとの差額の現金還元だけで回収するには、どれだけの月利用額が必要か。当研究所の計算は次のとおりです。Premiumの場合、月利用額をS米ドル(2,000米ドル超〜10,000米ドル以下)とすると、Standardとの還元差額は月あたり「0.02×S−30米ドル」です。これが月あたり83.33米ドル(年会費1,000米ドル÷12か月)に達するには、S=約5,667米ドルが必要です。Privateの場合、月利用額S米ドル(2,000米ドル超〜40,000米ドル以下)で、還元差額は「0.03×S−30米ドル」で、月あたり833.33米ドル(年会費10,000米ドル÷12か月)に達するには、S=約28,778米ドルが必要です。
この計算の意味は明確です。月利用額が5,667米ドルに満たない場合、Premiumの年会費は、Standardと比べた現金還元の増加分だけでは回収できません。月利用額が2,000米ドル程度の人であれば、Premiumの還元は月40米ドル、Standardは月30米ドルで、差額は月10米ドル・年120米ドルに過ぎず、年会費1,000米ドルには遠く及びません。有料ティアの価値は、現金還元以外の要素(Visa Infiniteの付帯サービスやコンシェルジュ、KASTポイントなど)に依存しますが、ポイントの現金価値は未確認のため、本ノートでは年会費の回収根拠として採用しません。有料ティアは、実際の月利用額が上記の水準に届く見込みがある場合に、初めて検討に値します。
よくある誤解の検証
- 誤解1「170か国以上で使える=170か国で申し込める」:前者はVisa加盟店の受け入れ国の話で、後者は申し込み対象国の話です。KASTは申し込み対象国の完全なリストを公開しておらず、申し込めるかどうかはアプリ内の国選択で確かめる方式です。加盟店数の数字を申し込み可否の根拠にすることはできません。
- 誤解2「還元は最大5%」:米ドルキャッシュバックの率はStandard 1.5%・Premium 2%・Private 3%で、KASTポイントは別枠です。ポイントを現金還元に合算して「最大5%」と説明する記事がありますが、ポイントの現金価値は公式の手数料ページでは確認できなかったため、本ノートでは合算しません。旧ブログ記事に掲載されていたポイント率(1%・3%・5%)と、現在の報酬表の数字が異なる点も、競合サイトが指摘する食い違いです。最新の数字はアプリ内・公式報酬規約で確認してください。
- 誤解3「物理カードは無料」:Standardの物理カードはカード代が0米ドルですが、配送料金として40米ドルがかかります。「カード代無料」と「受け取りまで無料」は別です。地域によってはバーチャルカードの付帯分にも2米ドルの発行手数料がかかる場合があると公式ページに明記されています。
- 誤解4「米ドル決済が0%なら、どこで使っても手数料はかからない」:0%なのは米ドル建てのカード利用・チャージ・Apple Pay・Google Payの利用です。米ドル以外では為替手数料0.5%〜1.75%、25米ドル未満の米ドル以外決済では0.10米ドル、残高不足の決済失敗では0.50米ドル、ATM出金では3米ドル+2%がそれぞれかかります。自分の決済通貨と使い方で、かかる手数料は変わります。
- 誤解5「保有残高の利率(8%・10%・12%)はカードの還元と同じ」:保有残高に対する利率の案内は、カードの決済還元とは別の制度として第三者レビューで紹介されています。今回当研究所が確認した公式の手数料・条件ページには、この利率の記載は確認できなかったため、本ノートでは要検証として扱います。利率の適用期間や条件は、公式の該当ページで別途確認が必要です。
- 誤解6「アカウントが作れたらカードも申し込める」:アカウント作成と本人確認の通過は別段階です。居住国が申し込み対象外の場合、本人確認を通過できず、カードは発行されません。入金する前に、まず国選択の表示を確認してください。
注意点
- 金融庁の登録業者ではない:KASTは日本の金融庁に登録された国内業者ではありません。日本の投資者保護制度の対象外であることを理解したうえで利用してください。
- 条件変更のリスク:公式の手数料ページにも、料金・限度額・報酬・提供地域は変更され得ること、最新の条件はアプリ内や公式サイトの公表内容が優先されることが明記されています。還元率・上限・為替手数料の幅はいずれも変わり得るため、大きな利用を始める前に公式ページで最新の条件を確認してください。
- 有料ティアの年会費は前払い:Premium・Privateの年会費は年額で請求されます。現金還元だけで回収できる月利用額の目安(Premiumで約5,667米ドル、Privateで約28,778米ドル)に届かない場合は、年会費が持ち出しになる点に注意してください。ポイントや付帯サービスを回収根拠にする場合は、その現金価値を事前に確認してください。
- 対象外取引・地域差の存在:還元は対象となる利用額にのみ適用され、地域や取引の種類によって条件が変わると公式ページに記載されています。大きな決済の前に、自分のティア・地域での対象条件をアプリ内で確認しておくと、「還元されるつもりだった」という行き違いを防げます。
- 送金の取り消しができない場合がある:暗号資産の送金は、誤った宛先へ送った場合に取り消しが難しいのが一般的です。入金・出金の際は、資産の種類とネットワークをアプリ内の表示と照合してから実行してください。
ほかのカードの詳細ガイドもあわせて読むと、KASTの位置づけがより明確になります。ether.fi Cashの詳細ガイドでは、ノンカストディアル型のクレジット型カードの仕組みを、MEXC Cardの詳細ガイドでは、申請ブラックリスト方式とM-Score連動の還元を解説しています。3枚のカードを比べる際は、カード比較表もご覧ください。
よくある質問
Q. KASTの申請可能国は、どこで確認できますか?
KASTは完全な対象国リストを公開していません。確認方法は、公式アプリの申し込み画面・本人確認画面で表示される国の選択肢を見ることです。自分の実際の居住国が選択肢に表示されれば本人確認へ進めます。表示されなければ、その時点ではその国では提供されていない扱いです。アカウントが作れたことと、本人確認を通過できることは別です。居住国と異なる国を選んだり、位置情報のチェックを回避するためにVPNを使ったりする行為は規約違反になると指摘されているため、避けてください。
Q. KASTは日本から申し込めますか?
断定できません(要検証)。当研究所のKAST検証レポートでは、Apple Payの対応国リストに日本が含まれていることを根拠に「申込可の可能性高」としていますが、Apple Payの対応国リストとカード発行の対応国リストは同じものではありません。カード発行の対応国リスト自体は公式に公開されていないため、本ノートでは申し込めると断定せず、アプリ内の国選択と本人確認の表示が最終確認になるとしています。物理カードの日本への郵送可否についても、公式の手数料ページに国別可否の明記は確認できなかったため要検証です。
Q. Standardティアでは、月にいくら戻ってきますか?
米ドル建て決済の場合、月最初の2,000米ドルまでが1.5%の対象で、月あたり最大30米ドルです。月500米ドルなら7.50米ドル、月1,000米ドルなら15米ドル、月2,000米ドルなら30米ドルです。月2,000米ドルを超えた分には還元が付きません。米ドル以外(日本円など)で決済する場合は、為替手数料0.5%〜1.75%を差し引いた実質還元で見る必要があり、為替手数料が1.75%の場合は実質マイナス約0.25%になります。
Q. Premium・Privateの年会費は、現金還元だけで回収できますか?
月利用額が一定水準に届く場合に限ります。当研究所の計算では、Standardとの現金還元の差額だけで年会費を回収するには、Premiumで月約5,667米ドル、Privateで月約28,778米ドルの利用が必要です。月利用額が2,000米ドル程度の場合、PremiumとStandardの還元差額は月10米ドル・年120米ドルに過ぎず、年会費1,000米ドルには及びません。KASTポイントは現金価値が未確認のため、この計算には含めていません。
Q. 物理カードの費用と、バーチャルカードの費用はいくらですか?
Standardの物理カードはカード代0米ドル+配送40米ドルです。バーチャルカードはStandardカード2枚までが付帯分に含まれますが、地域によっては付帯分にも1枚2米ドルの発行手数料がかかる場合があると公式ページに明記されています。追加のStandardバーチャルカードは1枚2米ドルです。物理カードの配送日数は、今回確認した公式の手数料ページには記載がなかったため要検証です。
Q. ATM出金の手数料はいくらですか?
米ドルでの出金は、1回あたり3米ドル+出金額の2%です。100米ドルなら5米ドル(5.0%)、500米ドルなら13米ドル(2.6%)です。出金限度額は1回500米ドルまで、24時間で3回または1,500米ドルまでです。米ドル以外で出金する場合は、さらに為替手数料0.5%〜1.75%が上乗せされます。ATM出金はカード利用の中でも割高なため、カード決済中心の利用が前提のカードです。
Q. KASTポイントは現金と同じですか?
いいえ、現金とは別枠として扱うべきです。今回当研究所が確認した公式の手数料・条件ページの報酬表には、米ドルキャッシュバックの率と上限のみが明記され、KASTポイントの付与率や換金価値の記載は確認できませんでした。そのため本ノートの試算ではポイントを現金還元に含めていません。ポイントを理由に有料ティアを選ぶ場合は、アプリ内や公式の報酬規約で最新の付与条件と現金価値を確認してください。
出典
- KAST公式ヘルプ「What Are the Fees and Conditions for KAST Cards and Accounts?」
- KAST公式「Terms and Conditions of Service」
- クリプトカード研究所「KAST 検証レポート」
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